「幕末太陽伝/Dramatic S」My楽 行ってきました

雪組22日公演。

私にとって、ちぎみゆを拝めるのはこれで最後。

開演前は少し感傷的な気分になったりもしたけれど、開演後は不思議と穏やかな気持ちに。

これまでで一番いい舞台を見せていただきました。

 

『幕末太陽伝』感想

場面ごとに書くとあまりにもネタバレ満載になってしまうので、

生徒さんごとに感想を。

 

 早霧せいなさん

 本当に演技力の高い方です。

この舞台はちぎさんの力あってこその舞台だなとつくづく思います。

佐平次が持っている陽気な一面も、かっこよくてやり手な一面も、老い先短いであろうという切なさも、どれもうまく表現されていました。

あと笑いをとるのがお上手。

毎回アドリブもたのしかったです。

蒲団にはいって暗転するところで、「おやすみ~」といったり「こもりうた歌って~」といったり。

すす払いに来てはけるところでは「ちっさいくしゃみでた」「あの歌あの人がつくったんか~」とか。

何回見ても飽きない理由のひとつには、彼女の多彩なアドリブと表現があげられると思います。

ちぎさんはとにかく、相手の芝居を受けて演じるんですよね。

だからとっても自然だし、全編とおしてまったく同じ芝居だという日がないんです。

本当にすばらしい役者さんです。

 

22日の公演では、1度目のすす払いのときに、2回目のすす払いで歌う歌を歌っちゃったんですよね、ちぎさん。

でもそうすると、次のだいもんの「わしが作った歌」という台詞が繋がらなくなってしまう。

しかしそこはさすが、芝居の流れはきっちり頭にはいっていらっしゃって、レボリューションを歌った後に自然な形で三千世界を歌いなおしておられました。

そして2回目のすす払いのときには「きれいきれい~」と全くオリジナルの歌を披露笑

さすがだなと思ってみていました。

たぶん今回はじめてみた方は、間違いに気がつかなかったでしょう。

 

太鼓のばちをキャッチできずに落としたときも、「あっ」という顔は一切せずに、また観客にもそう思わせないようにおちゃらけてみせる。

ちぎさんは咄嗟の対応力もすごいですよね。

芝居の流れや役をしっかりと頭に叩き込んで、表現できているからこその対応力。

22日公演は、貴重なものがみられてよかったです。

 

雪組の芝居を引っ張ってきたちぎさん。

退団は本当に寂しいですが、どこかでまたちぎさんの演技が見られることを願っています。

 

 咲妃みゆさん

 ちぎさんが、「役、芝居の流れすべてを頭に叩き込んで考察して演技するタイプ」の演者であるとするならば、この方は憑依型かなと思います。

ゆうみちゃん、役によって声の出し方が全然違うんですよね。

そして役の動き、しゃべり方を徹底する。

どんな役でも自分のものにしてこなしてしまう、おそろしい演者さんです。

 

ゆうみちゅんのおそめは、色っぽい、けれどどこかまだ成熟した大人ではないおそめ。

どの場面もすばらしかったけれど、一番好きなのは心中の場面ですね。

金ちゃんに足を踏まれて痛がる様子とかまんまおそめ。

自分も死にきれず、とめてくれるのを待っている様子とか、うまい具合に客席に悟らせるように演じる力を彼女はもっています。

そして笑いをとるのも上手、相手のアドリブをうけて答えるのも上手。

大さんにアドリブで鼻水ぬじられたとき、間髪いれずに「なにするんだい!」って大さんを叩いていたところ、客席は大うけでした。

 

そしてお歌もすばらしい。

今回はソロを色っぽく歌っていたけれど、サビの力強さといったら。

おそめの本質を感じさせる歌い方でしたね。

元々の歌唱力の高さもそうですが、彼女は「役のまま歌う」ことができるのが強い。

 

ゆうみちゃん、もっといろいろな役をやっているところを見たかった。

宝塚を退団されても、活躍できる才能をもっていると思います。

ぜひがんばっていただきたい。

 

 望海風斗さん

 最初舞台がせりあがってきたときの威圧感ハンパなかった。

ちぎさんとのにらみ合いも緊迫感はんぱなかった。

久坂に怒鳴りつけるところとか威厳ありすぎた。

なんかもう本当にオーラすごい。

 

 正直、今回はあんまりおいしい役ではなかったですね。

でもしめるところをちゃんとしめるという重要な役割を担っていたと思います。

上記以外にも、レボリューションの場面とかね笑 

 

終盤、トリデンテで歌うとき、佐平次を見る目がずっとやさしいんですよね。

それをみて泣きそうになりました。

すばらしい歌唱力、トリデンテの美しいハーモニー。

彼女も、感情を歌にのせることができる方ですから、ほんとに…ほんとに…。

 

トリデンテがもう見られないのは寂しいですがだいもん体制も楽しみです。

どんな風になるんだろう。

できればながくいてほしいです。

 

  彩風咲奈さん

 相変わらずふらふらしていらっしゃいました笑

咲ちゃん追うの楽しいんですよね。

セリフないところでもずっと芝居していらっしゃるもの。

女中に膝枕してもらったり起こしてもらったりとにかくもうかわいいのなんの。

かと思えば佐平次を試すような目で見たり、おひさに「昔は頭がよくて優しかった」といわれたときの「よせやい」という声色には賢さがにじんでいたり。

細かく役作りをされているなと感じました。

 祭りの場面の歌い出し、すごくかっこいい。

サビもものすごく低い音ですが、きれいに出していらっしゃいましたね。

あれにもっと声量がつけばおそろしいことになるな…。

おそめに飴を買ってあげるところのアドリブも楽しかったな。

にゃんにゃんが一番好きでした笑

 

  真彩さん

 ううむ。

異動してきたばかりで仕方ないのかもしれませんが、浮いていました。

壁に向かってひとりで話しているように感じました。

相手の芝居を受けて演じることがまだできていないかも。

はやく馴染んでほしいな。

 

祭りのときの歌はよかったです。

綺麗な声ですし、役で歌えるようになればなおいいですね。

今後に期待。

 

  彩凪翔さん

 久坂かっこいいのに出番少なくてな…。

でも雪組の芝居を支える重要なひとです。

翔君の演技好きなんですよね。セリフの言い回しが好み。

本当にいい演技をするのだから、もっといいお役を…。

今回は退団者が多かったので、そのわりを食らったのかな…。

全ツ、期待しております。

 

  鳳翔大さん

 おいしい役でしたね。ほんとわらった。

完璧なスタイルとかっこいいお顔であんなに振り切ったおもしろいことされたらたまりません。

話し方も茶目っ気があっていいんですよね。

 

  香稜しずるさん

 やめないでおねがい。

個人的には、ゆうみちゃんに続いてなんでもできる人というイメージなんですよね。

憑依型ではないけれど、癖もないし万人に受ける演技のできるひと。

貴重な存在です、本当にやめないでほしい。

 

 まわりから「鬼」といわれるような威厳ある人の顔もみせつつ、こはるに骨抜きにされてでっれでれな様子も愉快に表現されていました。

スキップしてとびらにぶつかるところ何回みても笑う。

藩士と遭遇したときの動揺や振り返り、立ち去るときのアドリブも見事でしたね。

 

 あんりさん

 本当にいいお芝居でした。退団されてしまうのか…惜しいなぁ。

色っぽくて、「客を騙すが商売」という台詞がよく似合う。

彼女の憂いをおびた表情が本当に色っぽい。

高杉と別れるときの顔、焼き討ちを見届けたときの表情もすばらしい。

雪組はこの人も失うのか…。

 

 長州藩士組

 3回目までは正直なところ、お歌があれで…。

ずっとはらはらしながら見ていました。

しかし22日はちがった。しあがってきた!

いままでとは声の厚みがちがいました。

ムラ残り1週間を切って、意識の変化があったのでしょうか。

これは東京公演でみられる皆様がうらやましい。

 

レボリューションの歌すごく好きです。

ここだけちょっと謎のアイドル感笑

5人とも平等にみるつもりだったけれど、いつも自然とオペラグラスは眞ノ宮るいくんの方に笑

ほんとうにかっこいいですあの子。

いい声だし、歌唱力やセリフのないところでの芝居が板についてきたら上にあがれるんじゃないかなぁ…。

 

 

 

 まだまだ語りたりないけれどこの辺で。

 

この舞台、組子全員が舞台上で細かく細かく演技しているから本当に目が足りないんですよね。

ケイレブハントは正直、10人くらいで成り立つ舞台になってしまっていたけれど、この演目は組子全員で演じるもの。

セリフがなくても、組子全員がきちんと役割を担っているんです。

円盤には絶対に収録しきれないだろうから、一度ぜひ観に行って、雪組の芝居、力を感じてほしいですね

 

ショーの感想はまた次回